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セキュリティ

リスクアセスメントとは? 進め方や情報セキュリティにおける重要性など

リスクアセスメントは、サイバー攻撃や内部不正が増加する現代において、企業が生き残るために欠かせない要素の一つです。ISMSやゼロトラストなどの最新のセキュリティフレームワークでも、リスクアセスメントが必須要件となっています。
そんなリスクアセスメントについて、この記事では概要から重要性、具体的な進め方、活用効果について解説します。

  1. リスクアセスメントとは何か
  2. リスクアセスメントの重要性
  3. リスクアセスメントの進め方
  4. リスクアセスメントの活用と効果
  5. リスクアセスメントを継続的に活用するために

リスクアセスメントとは何か

IT分野におけるリスクアセスメントとは、情報セキュリティ上のリスクを洗い出して評価し、必要な対策を決定・実施する一連のプロセスです。具体的には「自社が持つ情報資産についてどのようなリスクがあるのか」「どのくらい重大なリスクか」「どのように対応すべきか」を明確にします。

リスクアセスメントの目的は、このようなリスクを許容可能なレベルにまで低減することです。そのためには、脅威やぜい弱性といった機密性・完全性・可用性を損なう要因を特定し、損失の可能性を定量的・定性的に評価する必要があります。

リスクアセスメントの重要性

リスクアセスメントは、情報セキュリティにおいて要となる存在です。

近年では、業務のデジタル化が進展するとともに、サイバー攻撃の巧妙化・複雑化が進み、リスクの種類や発生源も多様化しています。このような状況下では、組織全体でリスク認識を共有し、現場の声も反映した対策を講じることで、社内セキュリティポリシーの浸透や従業員の意識向上を図る必要があります。そのためには、リスクアセスメントによるリスクの洗い出しや評価が欠かせません。

また、リスクアセスメントはゼロトラストやISMSなどの国際基準でも、セキュリティ対策の出発点として位置づけられていることからも、情報セキュリティにおける重要性が分かるでしょう。また、経営層やマネジメント層がリスク管理を主導することで、企業全体のガバナンスや内部統制が強化され、法令遵守だけでなくブランド価値の向上にもつなげられます。

リスクアセスメントの進め方

リスクアセスメントの進め方について、ステップごとに簡単に解説します。以下、各ステップを見ていきましょう。

ステップ1:資産の洗い出しと分類

最初のステップとして、情報資産や業務資産をリストアップし、重要度や役割ごとに分類します。情報資産は顧客データやシステム、文書など、業務資産は設備や作業手順などが該当します。このステップでのポイントは、事業継続や法規制上、保護が必須な資産を明確化することです。

ステップ2:脅威・ぜい弱性の特定

次に想定される脅威を資産ごとに洗い出します。例としては、サイバー攻撃や自然災害、ヒューマンエラー、内部不正などです。また、システムの未更新やパスワードの管理不備などのぜい弱性も併せて特定することが重要です。ここでは、社員へのヒアリングや過去のインシデント報告なども活用し、現場目線で抜け漏れを防ぎます。

ステップ3:リスクの算出と評価

代表的なリスクの算出方法としては「発生確率×影響度」や「重要度×脅威×ぜい弱性」などが挙げられます。リスクの大きさをリスク値として、数値化・可視化しましょう。その中から、優先順位を付けて対応すべき順序を明確にします。

ステップ4:対応方針の決定と実施

リスクが算出できたら、それぞれのリスクへの対応策を決めます。対応策は主に次の4種類が存在します。

  • 回避:リスクの発生源を取り除く
  • 軽減:リスクの発生確率や発生した場合の影響を小さくする
  • 移転:リスクが発生した際の損失や責任を第三者に移す
  • 受容:リスクの発生を認識したうえで受け入れる

対応策はリスク評価の結果に合わせて選択するとともに、コストや効果を考慮することが重要です。対策内容は文書化し、経営層の承認や現場への周知を徹底しましょう。

ステップ5:モニタリングと定期的見直し

リスクアセスメントの結果や、対応策の効果は定期的に確認しましょう。せっかく対応策を定めても、その効果が十分に発揮されなければ意味がありません。PDCAサイクルを回し、継続的な改善につなげることが重要です。特に新規の脅威発生時や組織変更時には、速やかに見直しましょう。

リスクアセスメントの活用と効果

リスクアセスメントを有効に活用することで、セキュリティ対策の優先順位付けが可能となり、限られたリソースを効果的に配分できます。セキュリティ対策自体は、直接企業に利益をもたらすものではありませんが、企業活動を続けるうえでは欠かせません。人材やコストなどのリソースを効果的に配分できるようになることで、企業活動の円滑化が期待できます。

また、リスクアセスメントは経営層主導のリスク管理体制や、ガバナンス・内部統制の強化につながります。組織全体でリスク認識を共有することで、従業員のセキュリティ意識向上や現場の主体的な安全活動の促進につながるでしょう。

リスクアセスメントを継続的に活用するために

リスクアセスメントは、情報セキュリティ上のリスクを洗い出して評価し、必要な対策を決定・実施する一連のプロセスです。一度きりの作業ではなく、組織の変更や新たな脅威に応じて定期的に見直すことが欠かせません。変化の激しい現代において、リスクアセスメントを組織文化として根付かせることは、企業の持続的成長と信頼獲得につながります。リスクアセスメントを組織の未来を守るための戦略的な活動として、実践してみてはいかがでしょうか。

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参考:JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)「リスクアセスメントとリスク対応

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